2012年東北大入試(後期)理系数学第5問その3
2012.09.01 00:01|大学入試問題|
どもども~。
前回の続きをやっていきますよー
問題はこちら
前々回:http://mathnegi.blog.fc2.com/blog-entry-12.html
前回:http://mathnegi.blog.fc2.com/blog-entry-13.html
前回やった(3)の別解法について今回は考えてみます~
前回の記事も参考にしてみてくださいな
BがAの共役複素数であることを利用する解法
A+BとABの値を求めてニャンという問題でしたが,
まず始めにAとBは互いに共役な複素数であることに着目してみます~
従って,複素数zの共役複素数を( ̄z)という記号で書くことにすると,
A+BというのはA+( ̄A)に等しいんですね~
A=x+yiとおくと,B=x-yiなので,A+B=2xとなるのです~
実際このxとyは何かというと,(1)を使って
α=cos(2π/7)+isin(2π/7),
α^2=cos(4π/7)+isin(4π/7),
α^4=cos(8π/7)+isin(8π/7)
と書けるので, x=cos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(8π/7), y=sin(2π/7)+sin(4π/7)+sin(8π/7)
になってます~~
このxの値を求めろといわれたら,三角関数の公式を駆使して解きたくなっちゃいますよね
三角関数のいろんな問題を解いたことのある人なら,次のようなタイプの問題に遭遇したことがあるかもしれません
次の値を求めよ: sin20°+sin40°-sin80°
今の問題と似ていますね~
これは和積の公式を使って,
sin40°+sin20°=2sin(40°+20°)/2cos(40°-20°)/2=2sin30°cos10°=cos10°
∴ sin20°+sin40°-sin80°=cos10°-sin80°=sin10°-sin(90°-10°)=sin10°-sin10°=0
と計算されます~
和積とか積和とか2倍角とか半角とかの公式を何度か使うと,30°とか45°などの分かりやすい角が出てきて
最終的にキレイな値が求まって終わる,というのが1つの定例パターンなんですけども~
当然今回もそういうパターンなんだろうなあという期待を胸に計算を始めるわけではあるのですが,
途中で「ん?うまくいかねーぞ」みたいな壁にぶつかります
実際の答えは x=cos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(8π/7)=-1/2 なのですが,
まぁ,これは確かに公式を駆使すれば出てきてもおかしくなさそうな値ですね。
一方のyの値を見てみると実はコレは y=sin(2π/7)+sin(4π/7)+sin(8π/7)=√7/2 になるんです。
和積とか倍角の公式使ってちょちょいとやってみただけでは,どうにも√7なんて厄介な数字は出てくる気がしないですね~
何やら1工夫が必要であるみたいです~
それではとりあえず適当に式変形してみましょう~
cos(2π/7)だけの式で表してみたものの,4次式になってしまいました。
そこで,cos(2π/7)が満たす関係式,特に(cos(2π/7)の多項式)=0のタイプのものが何か無いか模索してみます~
π/7の倍数の角に関して特徴的な性質としてcos(kπ/7)=-cos{(7-k)π/7}があります。
コレと2倍角,3倍角の公式を利用して関係式をみつけてみましょーー
というわけで3次式が得られました。この関係式を使って答えを導いてみましょう~
何とか答えまで辿り着きました~
ABのほうも同様に考えていきましょう~
AB=A( ̄A)=|A|^2=x^2+y^2 であることに注意です
cos(6π/7)=cos(8π/7)なので,途中式のcos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(6π/7)は既に求めた
cos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(8π/7)に置き換えちゃうと少し計算が早いですね
ちなみに,今の計算の中で用いたcos(2π/7)が満たす関係式を求める方法は
他にも色々あるんでしょうが,例えば割とすぐに思い浮かぶものとしては2項定理を使うものがあります。
ただ少し難アリです~。なぜかというと,
一般に(x+yi)^7は素直に展開すると
のようになり,これに例えばx=cos(2π/7),y=sin(2π/7)を代入してsinを消去すれば
実部と虚部から2つの関係式が得られます
因数分解して最初に求めた3次の関係式を得ることができるのですが,
この因数分解は決して容易くはないのです~
(x-1をくくり出すのは容易でしょうがその後が大変><)
第2式からは因数分解自体大変なのに,このように似た因数が出てきます。
どっちの因数が「=0」なのかすぐには判別できません
実際「=0」なのは実部側の計算結果より,定数項が-1の方ですね。
しかしまあ,因数分解は諦めて,次数の大きい多項式のままそれを利用する手もあります。
もっと簡単な関係式が得られるとはいえ,次数が大きくても一応cos(2π/7)の満たす関係式に違いありません。
せっかく2つ式があるので,次数の小さい6次のほうを採用してこれをもとにして問題を解くほうが楽そうですね。
なお,互除法を使ってもっと次数の小さい関係式を求めていくという手もあります
(3)ではsin(2π/7)が満たす関係式を求める話に触れようと思うのですが,cos(2π/7)の関係式より
求めるのがちょっと大変で3次式がなかなか得られません。
そこで最後に互除法を使って求めてみよーと思います(次回かその次)
前回の続きをやっていきますよー
問題はこちら
前々回:http://mathnegi.blog.fc2.com/blog-entry-12.html
前回:http://mathnegi.blog.fc2.com/blog-entry-13.html
前回やった(3)の別解法について今回は考えてみます~
前回の記事も参考にしてみてくださいな
BがAの共役複素数であることを利用する解法
A+BとABの値を求めてニャンという問題でしたが,
まず始めにAとBは互いに共役な複素数であることに着目してみます~
従って,複素数zの共役複素数を( ̄z)という記号で書くことにすると,
A+BというのはA+( ̄A)に等しいんですね~
A=x+yiとおくと,B=x-yiなので,A+B=2xとなるのです~
実際このxとyは何かというと,(1)を使って
α=cos(2π/7)+isin(2π/7),
α^2=cos(4π/7)+isin(4π/7),
α^4=cos(8π/7)+isin(8π/7)
と書けるので, x=cos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(8π/7), y=sin(2π/7)+sin(4π/7)+sin(8π/7)
になってます~~
このxの値を求めろといわれたら,三角関数の公式を駆使して解きたくなっちゃいますよね
三角関数のいろんな問題を解いたことのある人なら,次のようなタイプの問題に遭遇したことがあるかもしれません
次の値を求めよ: sin20°+sin40°-sin80°
今の問題と似ていますね~
これは和積の公式を使って,
sin40°+sin20°=2sin(40°+20°)/2cos(40°-20°)/2=2sin30°cos10°=cos10°
∴ sin20°+sin40°-sin80°=cos10°-sin80°=sin10°-sin(90°-10°)=sin10°-sin10°=0
と計算されます~
和積とか積和とか2倍角とか半角とかの公式を何度か使うと,30°とか45°などの分かりやすい角が出てきて
最終的にキレイな値が求まって終わる,というのが1つの定例パターンなんですけども~
当然今回もそういうパターンなんだろうなあという期待を胸に計算を始めるわけではあるのですが,
途中で「ん?うまくいかねーぞ」みたいな壁にぶつかります
実際の答えは x=cos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(8π/7)=-1/2 なのですが,
まぁ,これは確かに公式を駆使すれば出てきてもおかしくなさそうな値ですね。
一方のyの値を見てみると実はコレは y=sin(2π/7)+sin(4π/7)+sin(8π/7)=√7/2 になるんです。
和積とか倍角の公式使ってちょちょいとやってみただけでは,どうにも√7なんて厄介な数字は出てくる気がしないですね~
何やら1工夫が必要であるみたいです~
それではとりあえず適当に式変形してみましょう~
cos(2π/7)だけの式で表してみたものの,4次式になってしまいました。
そこで,cos(2π/7)が満たす関係式,特に(cos(2π/7)の多項式)=0のタイプのものが何か無いか模索してみます~
π/7の倍数の角に関して特徴的な性質としてcos(kπ/7)=-cos{(7-k)π/7}があります。
コレと2倍角,3倍角の公式を利用して関係式をみつけてみましょーー
というわけで3次式が得られました。この関係式を使って答えを導いてみましょう~
何とか答えまで辿り着きました~
ABのほうも同様に考えていきましょう~
AB=A( ̄A)=|A|^2=x^2+y^2 であることに注意です
cos(6π/7)=cos(8π/7)なので,途中式のcos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(6π/7)は既に求めた
cos(2π/7)+cos(4π/7)+cos(8π/7)に置き換えちゃうと少し計算が早いですね
ちなみに,今の計算の中で用いたcos(2π/7)が満たす関係式を求める方法は
他にも色々あるんでしょうが,例えば割とすぐに思い浮かぶものとしては2項定理を使うものがあります。
ただ少し難アリです~。なぜかというと,
一般に(x+yi)^7は素直に展開すると
のようになり,これに例えばx=cos(2π/7),y=sin(2π/7)を代入してsinを消去すれば
実部と虚部から2つの関係式が得られます
因数分解して最初に求めた3次の関係式を得ることができるのですが,
この因数分解は決して容易くはないのです~
(x-1をくくり出すのは容易でしょうがその後が大変><)
第2式からは因数分解自体大変なのに,このように似た因数が出てきます。
どっちの因数が「=0」なのかすぐには判別できません
実際「=0」なのは実部側の計算結果より,定数項が-1の方ですね。
しかしまあ,因数分解は諦めて,次数の大きい多項式のままそれを利用する手もあります。
もっと簡単な関係式が得られるとはいえ,次数が大きくても一応cos(2π/7)の満たす関係式に違いありません。
せっかく2つ式があるので,次数の小さい6次のほうを採用してこれをもとにして問題を解くほうが楽そうですね。
なお,互除法を使ってもっと次数の小さい関係式を求めていくという手もあります
(3)ではsin(2π/7)が満たす関係式を求める話に触れようと思うのですが,cos(2π/7)の関係式より
求めるのがちょっと大変で3次式がなかなか得られません。
そこで最後に互除法を使って求めてみよーと思います(次回かその次)
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