どもども。
今回は今年のセンター数学2Bの第4問です~

例年同様でベクトルの問題になっています~
昨年の追試は正八角形を題材にした問題で非常に難しかったのですが,それを易しくしたような類題に
なっています。正六角形を題材にした問題で,馴染みのある受験生も多かったことだろうと思われます。
しかも「図形と方程式」や「図形の性質」のような分野の要素もあるため,
殆どベクトルを使わずに解いてしまうことも出来てしまいます。
1次独立性やベクトル方程式など,べクトル特有の諸概念の理解が甘い受験生にとってはラッキーでした。
まずは誘導に沿って自然な流れで解いていきます。
と言っても様々な解き方ができるので何が一番自然かというのが決めにくい問題ですが~
まぁベクトルの問題なのでベクトルを使って解いていくのが恐らく自然なのでしょう~
(1)はBとDの座標を答える設問です。
これは「三角関数」分野の雰囲気も漂っていますね。べクトルの要素は薄いです。
極座標的な考え方で埋めておくと良いでしょう。
(2)は

の成分表示を求めるのが目標です。
MはBDの中点なので,

は
)
や,
-\overrightarrow{OA})
で計算すると良いでしょう。

は

としても良いし,正六角形の特性から
)
とするのも良いでしょう。

を

と2通りに表して,成分比較により
r と s に関する連立方程式を立てる,という流れになっているので,それに従って r と s を出しましょう~

(3)は(2)の話とは基本的に関係がないので,(2)が詰んでしまった人は諦めずに(3)に挑んでみるべきですね。
はじめの

なんかはサービス問題ですよ~
さて,

のなす角に関する設問が最後に待ち構えているので,
まずはHの座標を出していきたいという流れです。
ここの計算はアプローチの仕方が結構人によって分かれそうですね。
ベクトルの問題で
「垂直」「垂線」「直角」「直交」などのキーワードが出てきたら「内積=0」と結びつけて考えるというのが定石なので,その方針で解いていくという人も多いでしょうし,直線CHの方程式を求めて直線 y=a
との交点を求めるという「図形と方程式」的な解き方で攻めた人も多かったのではないでしょうか。
他にも色々なアプローチの仕方があるのでそれは後で触れることにしましょう。まずは内積=0で解きます。
最後は

のなす角 θ について,

が成り立つような a の値を求めます。

という方程式を解いたという人が多数派だと思います~




それでは今回も別ルートを検討していきます~
まずは相似,平行線と線分の比に着目したアプローチその1です。
下の図において, AI:AJ=AM:AN=MI:NJ が成り立つことに着目して必要な長さや比を求めてみます。
また,MはBDの中点であるのと同時に,BDとOCの交点でもあるので,
ここでは敢えてそれに着目してMの座標を求めてみます。


続いて相似に着目する方針その2として,下の図のようにBCとANを延長してその交点Kをとってみます。
△ADM≡△KBM と △ADN∽△KCN に着目して設問に答えていきます~



△ADN∽△KCN に着目する代わりにNが△BDKの重心になっている(2本の中線の交点だから)ことに
着目して,重心の性質から DN:NC=2:1 を導くのもよいでしょう~
続いてはチェバの定理と角の二等分線の性質を使ってみます。
下の図において△ACDにチェバの定理を適用し, CN:ND=1:2 を求めます。
∠NDM=∠ADM=30° なので,△ADNに角の二等分線の性質を用いると,
AM:MN=DA:DN が成り立ちます。このことから r が求められますね。

残りの空欄は上の解答と同様なので割愛します~
チェバの定理を使った解法があるなら,メネラウスもいけるでしょう。
△OCDと直線ANに関してメネラウスの定理を使って CN:ND=1:2 を求め,
同様に△ADNと直線OCに関してメネラウスの定理を使って AM:MN=3:1 を求めることが出来ます


続いて面積比を使ったアプローチです~
一般に下図のような状況において,どちらも

が成り立ちますが,それを活用していきます。

CN:ND=△AMC:△AMD であり, AM:MN=四角形ACMD:△CDM です。
よって面積比の計算で r や s が求めていけます。
まぁチェバの定理は面積比を使った証明から導くことが多いので,チェバの定理を用いた解法と
やってることは結局同じなのかもしれません。


なお,MがCOの中点,OがADの中点,ということを活かして
△CDM=△ODM=OAM=△CAM=S を導くと,上の解法より更に楽に△CAMの面積まで到達できます

それではぼちぼち(3)の考察に進みたいと思います~
Hの座標を求めるにあたっては,既に述べたように直線CHの方程式を求めて直線 y=a との交点を出す
というアプローチがありました。「直線CHの方程式」に関してはごくごく自然に1次関数の形式で求めるほかに
ベクトル方程式の形式で求める発想もあります。
まずは1次関数形式で求めてみましょう~

の場合のみCHは y 軸と平行な直線になってしまうので例外とし,それ以外の場合について
直線EPの傾きが

なので,EPと垂直な直線CHの傾きは

です。
Cを通る傾き

の直線を求めたら良いですね。

ベクトル方程式として求める場合は

のような例外を気にする必要はありません。
CHの方向ベクトルとして,EPの法線ベクトルの1つである
)
を選んでくることができるので
直線CHのベクトル方程式は
=\left&space;(&space;-1\,,\,\sqrt{3}&space;\right&space;)+k\left&space;(a+\sqrt{3}&space;\,,\,-2&space;\right&space;))
( k は実数)
で与えられます。

また,(2)でやってきたみたいに相似を利用したアプローチも可能です。
下の図を見て分かるように,相似な直角三角形がたくさん隠れています。
特に △EFP∽△CQH に着目してみます。

最後のなす角θの問題について考えてみましょう。

なのでθは鋭角です。2直線OP,OHのなす鋭角を考察する問題 として捉えられますが,
「2直線のなす角」問題と言えば,高校数学ではベタな手法を3つ習います。
「ベクトルの内積を使ってなす角のcosの値を出す」,「直線の傾きとtanの関係を加法定理を使って調べる」,
「複素数平面上の点の回転と偏角の関係を調べる」の3つです。最後のは数3の内容です。
ほかには適当に三角形をっ作って余弦定理を使って cosθ を出すような手法もありますが,
余弦定理の話と内積の話は大体同じことをやっています。
はじめに内積を使ったアプローチを試してみたので,今度は加法定理を使ってみます

Pの位置について a≧0 と a<0 の場合に分けて考えます。
a=0 なら3点O,H,Pは一直線上に並ぶので明らかに条件に適しません。
実質的には a>0 か a<0 です。
更にいうと, a=±1 のときにはHが y 軸上に位置してしまうので傾きが定義できません。
そこで a=±1 の場合は例外扱いにします。


今度は複素数平面を使ったアプローチです。
xy 平面と複素数平面の自然な対応を考えましょう。
点Pは 1+ai という複素数を表すことになり,この点を原点のまわりに ±θ だけ回転移動した点は
\left&space;\{&space;\cos(\pm\theta)+i\sin(\pm\theta)&space;\right&space;\})
(複号同順) と表せます。

であることから,より具体的には
\left&space;(&space;\frac{12}{\,13\,}\pm&space;\frac{5}{\,13\,}i&space;\right&space;))
です。
これを X+Yi の形に整理したとき,3点

が同一直線上に並ぶことに着目して
)
を満たす実数 k が存在することから両辺における実部と虚部の比較で
a と k に関する連立方程式が立てられます。


上の解法では cosθ だけでなく sinθ も出てきました。
sinθ が分かっているときには,三角比を用いた三角形の面積公式と絡めたアプローチが出来ます。
△OPH の面積を2通りに表すことで立式してみましょう~

さて,ここまでのいくつかの解法を見ていると,
^2+a^2}=\frac{a^2+1}{2})
といった値が出てきています。
これらの値のうちどれか1つでも分かっていると, ∠HOP=∠POA=θ であることや △OPH が
HO=HP の二等辺三角形であることに気付けたりします


ということは辺の比が5:12:13の直角三角形と関連付けしていくことが出来ますが,
結局のところ原点, (1,0),(1,a) を頂点に持つ直角三角形がこのような辺の比を持てばよいわけです。
これで非常に早く答えが出せます。

辺の比が5:12:13の直角三角形と関連付けしていくなら更に次のようなスピード解法も考えられます

直線OAの上向き法線ベクトル (-a,1) の成分表示と5:12:13の比を絡めていきます。
下図にある通り | a |:1=5:12 なわけです。
物理に出てくる力の分解みたいですね。
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